2009 年度における事業内容
プロジェクトの初年度である2009 年度は、九州周辺海域、南西諸島海域、瀬戸内海、琵琶湖、日本海の各海域等の水中文化遺産の基礎資料収集を目的とした分布調査や資料調査を関係団体と共同で行った。それらの主な成果の発表を本誌上で行う。
まず九州周辺海域と瀬戸内海西部、四国の太平洋側の調査成果については本研究所の会員が報告する。南西諸島海域の調査成果については、共同調査を実施した鹿児島大学法文学部異文化交流論研究室(鹿児島)と南西諸島水中文化遺産委員会(沖縄)が報告する。そして、瀬戸内海東部と日本海域の調査成果については、それぞれ水中考古学研究所(京都)と金沢大学人文学類考古学研究室(金沢)の会員や室員が報告を行う。いずれも今後の調査に期待がもてる大きな成果が得られたものと思う。
そして、調査以外の事業としては、水中文化遺産委員会を福岡で開催し、日本の水中文化遺産の現状把握と課題の抽出を行った。また、『水中文化遺産を理解する』と題して、本プロジェクトの報告会とシンポジウムを日本財団ビル(東京)で開催した。さらに『海揚りの有田焼』展を有田町歴史民俗資料館と共催した。
今後もこのような水中文化遺産や水中考古学に関する普及活動も積極的に行っていきたいと思う。
(野上 建紀/アジア水中考古学研究所)
参考文献
野上建紀編2007『海底遺跡ミュージアム構想』NEWSLETTER 号外 アジア水中考古学研究所
野上建紀編2007『水中文化遺産と考古学−海底遺跡ミュージアム構想の実現に向けて−』第1回「水中文化遺産と考古学」シンポジウム アジア水中考古学研究所
野上建紀編2009『海の文化遺産総合調査プロジェクト−水中文化遺産データベース作成と水中考古学の推進』NEWSLETTER 号外アジア水中考古学研究所
石原 渉編『海の道 その遺産と考古学』2009 第2回「水中文化遺産と考古学」シンポジウム アジア水中考古学研究所
林原利明編2010『水中文化遺産を理解する』第3回「水中文化遺産と考古学シンポジウム」 アジア水中考古学研究所